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即興演奏のベテラン [ピアノ音楽]

カールスト・デ・ヨング先生というアムステルダム・コンセルヴァトアールの教授で即興演奏をみずから実践し、体系的に学生にも指導している先生が来日されるから、興味があったらお会いしてみませんか、と洗足学園のO先生からお誘いを受けたので、昼食をはさんで、いろいろ興味深い話を伺う事ができた。以下は誘ってくださったO先生へのお礼かたがたと私の即興演奏観も披露した私信である。


今日は大変楽しいひとときをありがとうございました。帰宅してカールスト先生のCD早速聞いて見ましたが、やはり即興というものには、音楽に関するあらゆる知識、スタイル、趣味、演奏技術など総合的なものが期せずして表れる、というものを改めて認識しました。カールスト先生はそういう意味で真の音楽家である、と大変感銘を受けました。

そして日本の音楽家、もしくは音楽教育におしなべて欠けているものが即興であり、それは20世紀になって作曲家と演奏家が別の職業として日本に輸入された結果であると思います。ただ幸田延の伝記を読むと、彼女は西洋音楽を作曲家と演奏家を一つのものと捉えてヨーロッパから帰国したようですが、残念ながらそれは日本には根付きませんでした。もちろん少数ではありますが、最近の若い世代のピアニストでこういう即興能力を持つ人も私は何人か知らないわけではありません。ただそれは個人の能力ないしは趣味にとどまっていて、教育現場では全く手がつけられていません。これはカールスト先生も言われていたように、ヨーロッパでも大部分の教育機関もそうであるようですが。

この種の即興能力は人前でやる、やらないは別にしても、演奏に際しての解釈に大きな影響を与えるもので、これを知らないでは、やはりその人の演奏は単に良く模倣されたにすぎないものにとどまる、というのが私の即興観です。私はもう年寄りですが、若いこれからの人に、これはぜひ身につけて欲しい、とつねづね学生には言っているのですが反応はいまひとつ、という感じです。時間はかかるでしょうがこれからの音楽教育の課題だと思います。よろしくお願いいたします。

もともと私も即興が嫌いな方ではないのですが、カールスト先生にはとても及びませんけれど、帰ってからも触発されて、30分くらい一人で即興を楽しみました。誰かに聞かせるものでもないよなあ、と思いながら。。。。

あらためていい機会を与えてくださったことに感謝いたします。


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