SSブログ

モーツアルト=クレメンティ 交響曲40番 [ピアノ音楽]

頂戴したものの、一度も聞いてない、というCDが山ほどある。ずいぶん前に頂いたまま、お蔵入りになっていたものを整理していたらこんなものが出てきた。モーツアルト生誕250周年を記念したライブコンサートの一部である(私家版なので一般に発売されたものではない)。モーツアルトの交響曲40番をクレメンティの編曲した室内楽版である。編成はフルート、ヴァイオリン、ピアノ、チェロの四重奏。ピアノは私の芸大時代の同級生である小川京子さん。

海老沢敏氏の解説によればクレメンティは40番以外にも「リンツ」「プラハ」「ハフナー」39番、「ジュピター」などの編曲があり、クレメンティの自筆譜も残っているのだそうである。当時、(この曲が編曲された1814年ごろ)ロンドンではまだモーツアルトがそれほど一般に知られていなかったので、モーツアルトを高く評価していたクレメンティが普及の目的で一般に演奏しやすいように、と室内楽版を出版したらしい。編曲者がモーツアルトとピアノがどちらがうまいか、と競演した当のライバルであるクレメンティであるところが面白いではないか。モーツアルトがクレメンティをさんざんこき下ろしたのを彼が知らないはずがない。

編曲マニアとして大変興味深く聞いた。編曲がクレメンティだから、ピアノのパートがむつかしく書かれているかといえばそうでもなさそう。モーツアルトを普及させる、という本来の目的からすれば当然の配慮であろう。それにもかかわらず、充実した編曲でなかなか聞き応えがある。いつも思うのだがオーケストラ作品をうまくダウンサイズするとオリジナルでは聴けない、作品の細部の良さが詳細に伝わる、という利点がある。現代はオリジナルがいくらでも聞ける時代だからこんなものは必要なさそうだが、作曲家が細部に施した見事な彫琢がよりよく見える、という大きな利点によって現代でも存在理由があると思う。それと、ピアニストが自分で演奏に関われない、と諦めているオーケストラの名曲が自分もその恩恵にあずかれる意味は大きい。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

宮ヶ瀬ダムセットものの不自由さ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。