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難民問題 [一般向け]

なるほど、そういう伏線があったか、と感心した。ドイツがシリアの難民受け入れに積極的なのは、ドイツの労働人口の減少が背景にある。難民の人たちをドイツ化させ、労働人口減少対策の一環にしよう、という思惑からだ。なかなかしたたかではある。メルケル首相がEUの他の国に呼びかけ、この問題では完全にイニシアティブをとっている。日本も労働人口減少という同じ問題を抱えているにもかかわらず、難民受け入れに消極的なのはなぜか。私が思うに、陸続きのドイツと島国日本との地理的条件の差のため、ドイツ人は外国人慣れしているのに対し、日本人は外国人が増えると治安が悪くなるとか、日本人の職を奪われるとか、とかくマイナス条件を考える結果及び腰になるのであろう。ドイツを見習え、とは言わないが考えるべき問題ではある。

誰も好き好んで難民になっているわけではない。自分の国に安心して住めないから生き延びるための最後の手段として自分の国を出るしかない、という過酷な選択肢しか彼らには残されていない。それを人ごととしてしか日本人が考えないのは、シリアという国があまりに遠く、馴染みが薄いからでもある。ヨーロッパ人にとっては聖書の舞台でもあるシリアはいわば自分の国の延長線上にある、と考えるのとはわけが違う、という思想的背景もあるので無理からぬ面もある。

一方、シリア難民の通過点で問題になっているハンガリーとギリシャのコス島。ハンガリーはまだしも国土が広いから、なんとか手の打ちようがあろうが、コス島は本当に小さな島で、ここに難民が大挙押し寄せたら島の人の生活はめちゃくちゃになってしまう。この難民ルートは、私も昔、トルコ旅行の際、家族旅行でとったのと同一ルートでもある。トルコ領のボドルムからギリシャ領のコス島までは船で一時間足らず、ボドルム湾を出たと思ったらもう着いてしまう。乗船の際、パスポート審査がなければ、国境を越える、と意識はほとんどない。コス島の側には私の記憶では何も入国チェックがないから容易にギリシャ領にはいれる。だから難民はこのルートを選ぶのであろう。トルコとギリシャは犬猿の仲だから、難民は陸上の国境を越えられないのでこのルートで海路ギリシャに渡るのだ。あののどかなコス島が今やシリア難民の集結所になっているとは信じがたい。

蛇足 ; ボドルムはトルコ南西部の地中海に面した風光明媚な都市で、古代ギリシャ帝国領だった時代はハルカリナッソスと呼ばれ、古代ギリシャの重要な文化的拠点でもあった。日本の一般トルコ旅行のツアーには入らない場所なのであまり知られていないが、古代ギリシャの色濃い都市である。
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