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変な特急 [鉄道あれこれ]

ヨーロッパでは各車両ごとに行き先がちがう、というのは珍しくはない。うっかり食堂車に行ってるうちに自分の乗っている車両はいつのまにか消えてしまった、ということは充分あり得る。したがってヨーロッパの鉄道旅行になれない人は自分の行き先の車両をうかつにはなれない方がいい。

日本ではJR九州の特急「かもめ・みどり・ハウステンボス」というのは珍しい方であろう。この3列車は3列車各4両づつ併結して12両編成で博多を出発する。先ず、肥前山口で長崎行きの「かもめ」の4両を切り離す。残りの「みどり・ハウステンボス」はしばらく手をつないで走るが、早岐で両列車は切り離されるのであるが、ここがみどころ。佐世保行きの「みどり」はここから逆方向になるため、両列車はほぼ同時刻に前後逆方向に向かって出発する。正確に言うと20秒くらいはちがうかも知れない。でも私がみたところほとんど同時なのだ。残念ながら私は「みどり」の乗客であったからホームで写真を撮るわけには行かなかったが、こっそり後部車掌室にはいって、遠ざかる「ハウステンボス」の写真を撮った。とはいえ、ハウステンボスの駅は早岐からはたった一駅、次で終点なのだが。車掌が入ってきて、笑いながら云うには「こんな珍しい光景が見られるのはここだけなんですよ」。私はつまらぬ心配をした。「連結器をうっかり切り離すのを忘れて、列車が同時に両方向に走り出したらどうなる?」

それにしてもこの列車に乗る乗客への対応の悪さである。私は鳥栖駅から乗ったのだが、乗り換え時間は充分あったにもかかわらず、自分の乗る「みどり」の乗車位置がどこにも書いてない。たずねようにも駅員もいない。結局列車が着いてから大きな荷物を抱えてホームを走り回る羽目になった。鉄道マニアにしてこのざまである。車掌に文句を言ったら、「みどり」も列車によって併結の相手がちがうので停車位置が変わる、だって。ヨーロッパの主な駅は、A・B・C・D・Eと大きな札がホームにかかっていて、ホームの何カ所かに各列車の編成表があり、自分の乗る車両は、どのあたりにとまるか、がすぐ分かるようになっている。

東北新幹線もこれまた複雑怪奇で乗車位置がわかりにくい。「何両編成の場合の何号車の停車位置」と云われたって素人に何が分かる? あらかじめその列車が何両編成かは大型の時刻表を克明に読まなければ分からない。JRもすこしヨーロッパ方式を見習ったらどうだろう。

( トップの写真は佐世保駅に到着した「みどり」。最近は新造車両と交代しているはずです)


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Akira

乗車位置に関しては、確かにヨーロッパの考え方の方が遥かに合理的で分かりやすいですね。最初は私も戸惑いました(番線と停車位置の記号が数字とアルファベットで示されていることが良く理解出来なかったため)が慣れれば、これは便利でスマート!と納得ゆくシステムです。逆に日本は親切すぎという感じです。確かにプラットホームに各列車の停車位置が表示されていれば、わざわざ編成表を見に行かなくても良いし一見便利で親切そうですが、逆にこれが初めてここを利用する外国人だったらと思うと、それこそ何がなんだか分かりません。そして列車によって乗車位置が違うので、もう支離滅裂です。
アルファベットで整理されればアバウトですが、利用者のコンセンサスになれば本当に良いでしょう。(ただホームに長蛇の列ができるお国柄ではまだまだか?)
もう1つ言えば、駅の時刻表があります。ドイツでは発車(黄色)と到着(白)の2枚だけの駅時刻表が掲示されています。これは時刻毎に上から順番に記されています。我が国のそれは、まず路線名を探して上下線を見極めて、そしてどの列車か特定するという3つのプロセスを得なければ目的にたどり着けません。せめて在来線と新幹線ぐらいに分けて、あとはドイツのような駅時刻表にして欲しいと考えています。
で、実はドイツのこの時刻表は、1960年代に初めてデザインセンターが出来た時、最初にやった仕事だそうです。そうか〜、JR東日本にも東海にも西日本にも、デザインセンターなんてないものね〜。
おっと、JR北海道はデザインセンターあったね〜。でも時刻表は?
by Akira (2006-06-28 21:35) 

klaviermusik-koba

日本は他の国にない「上り」「下り」というしばしばあまり意味のない観念が定着しているのでこれをかえるのは難しいのでしょう。
一般のドイツ人は日本人のように時刻表をを調べて列車に乗る、という習慣がほとんどなく、実際たとえば同じKarlsruhe-Frankfurtairport へ行くにもいろいろな経由地と乗り換えの方法があってなかなかわからない。駅の案内所で希望到着時刻をいえばたちどころに5〜6通りの乗り方をプリントアウトしてくれるのですが、普通の人にはこの方が楽なのでしょう。
客車内で分厚い時刻表を読んでいたら隣のドイツ人に「あなた、こんなものよく読めるなあ、私にはとてもできない」とへんに感心をされたことがありますから。私たち日本人は当たり前だと思っていることでも所変われば品変わる。
by klaviermusik-koba (2006-06-29 12:20) 

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