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私的「銀河」 [鉄道あれこれ]

 夜行寝台急行「銀河」が廃止されることになって、最終列車が1分間で完売となった、というニュースが報じられた。「銀河」という名称は私の知る限り、急行列車としてはもっとも古い部類のものではなかろうか。ブルートレイン「銀河」が終わった、という以上に私には実に感無量なものがある。

 ブルートレインになる以前の「銀河」はナハネ10やスロネ30など混成の代表的夜間急行であり、1950年代、私も何度かお世話になった。もう少し時代をさかのぼると、1940年代の終わり頃、やっと日本の鉄道もすこしづつ復旧しつつあり、まだ特急「へいわ」が東京ー大阪間を9時間要していたころのこと。

 それは、当時、唯一名前のついていた1,2等寝台専用急行、蛇足を付け加えれば、当時は3等級制で、3等車のない列車は全国これだけで、いまふうにいうと、特別なセレブ列車で庶民には全く関係のない超高級列車だった。たしか、東京ー神戸間を運行していたと思うが記憶はさだかでない。この急行列車の名称が「銀河」。以来、「銀河」の名称はずっと東京ー大阪間の夜間急行の名称として、ほかの列車が続々特急に格上げされる中、急行としてかわることなく受け継がれてきたが、それがいま消えてなくなったのである。つまり、私が生を亨けた時代のはじめに「急行」として生まれ、育ち、そして私がもうそろそろ生涯を終えようとする頃に銀河も「急行」として生涯を終えた、という感傷がある。

 「銀河」にはくやしい想い出がある。下の弟がやはり私と一緒にピアノをやっていたが、彼が何かのコンクールだったかで入賞のご褒美として、四日市から東京へ出て、「御前演奏」をする、という栄誉に恵まれた。そして上京するのに提供された列車がなんとこの「銀河」だったのだ。ふつうの一中学生がなぜそのような破格ともいうべき待遇であったのかは分からないが、「御前演奏」はまあいいとしても、俺よりはピアノが下手なはずの弟がなぜ「銀河」に乗れるんだ! 許せん! その悔しさをバネにして頑張ったからいまの私があるともいえなくもない。

とにかくに、「銀河」は去った。
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れいこ

「御前演奏」の話は母から聞いた事はあるけれど、「銀河」の話は初耳です。
「ピアノが好きで、電車が好きで、ピアノが上手になったら色々な電車に乗って色々な所に行ける!好きな物の相乗効果は大きかったと思う」と母は言っていたけれど、こんな裏話もあったのですね(笑)
by れいこ (2008-04-03 11:16) 

klaviermusik-koba

ピアノは上手にならなくてもいろいろな鉄道を楽しむことも出来ます。まあいずれにしても私はいろいろのところへはいっています。私も忘れていたけど、連想ゲームみたいに「銀河」から思い出してきたのですよ。
by klaviermusik-koba (2008-04-03 13:58) 

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