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Orlando di Lasso [メルクリン]

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 もう10年くらい前になると思うが、このBVI(B6)マッファイ製の機関車、バヴァリアの王、ルートヴィヒ2世の宮廷列車として「トリスタン」という名前でカタログに出ていたのを覚えている。しかるに2008年のカタログでは「オルランド・ディ・ラッソ」というネーミングになっている。これには音楽家である私もたまげた。16世紀のネーデルランド楽派の大家として音楽史に名高いが、この名前がなぜここにあるのか、と私は不明を恥じ、改めてグローブ音楽事典を読んでみると、彼の生涯のほとんど半分以上をミュンヘンを中心にすごしたことがわかる。

 「トリスタン」はワグナーのパトロンであったルードヴィヒ2世の列車だったから誰にも分かるが、ラッソ(ラテン語風にラッススともよばれる)とミュンヘンがとっさに私には頭の中で結びつかなかった。これが機関車の名前になるくらいだから、ミュンヘンという町がいかにこの外国生まれの音楽家、ラッソを誇りとしていたかがうかがわれて改めてヨーロッパの文化の奥の深さに感じ入った。さらにそれを模型機関車として制作し、カタログに載せる、というメルクリン社の見識にも。

 ピアノを弾く人にはあまりなじみのない名前かも知れない。せいぜい音楽大学の音楽史の授業の中で名前を聞いたことはある、という程度だろう。パレストリーナと並んで中世の最大の音楽家であり、ラッススの名前を聞くだけでも畏怖の念を覚えるという人は相当な通といえる。
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Akira

いつも役立つ解説をありがとうございます。バイエルン王国鉄道のB VI形は3497という製品番号で「Murnau」と「Tristan」、そして34971/37971「Toelz」と34972/37972 Ep.IIのBR34の合計4種がメルクリンからリリースされています。3497の2種は煙突形状とテンダー形状が大きく異なるものです。今回の37975「Orlando di Lasso」は、「Murnau」タイプの煙突と「Tristan」に似たテンダーが特徴です。今回はmfxサウンドデコーダーが内蔵されているので、機関車の蒸気音も楽しみな1台となります。

さて、解説頂いたこの機関車名「Orlando di Lasso」がどんな音楽なのか早速YouTubeで検索したところ、沢山の映像を見ることができました。中世ならではの心地よい音色が昔ミュンヘンに住んでいた頃良く地元FM局「Bayern 4」(クラシック専門局)で流れていたのを思い出しました。なるほど彼はミュンヘン滞在が長かったことが伺われます。私も初めて聞いた名前でしたが、曲自体は耳にしっかり残っていたようです。確かに日本のラジオ/テレビなどではほとんど耳にすることがない音楽ですね。懐かしかったです。
by Akira (2008-04-05 23:10) 

klaviermusik-koba

そういわれるとばMurnauもToelzもカタログで見た記憶がありますが、あまりに形が違うから別の形式かと思っていました。この二つは地名ですから、わかりやすいのですが、少し凝ったネーミングになると特に文化的な面での知識がないと恥をかくことになりそうです。特にヨーロッパでは道路の名前がそうですね。

でもこの機関車、かなりな数が生産されたようですから、全部に名前を付けるのも大変だったのではないでしょうか。いま見てもじつに美しい形をしています。機能美とでもいうのでしょうか。
by klaviermusik-koba (2008-04-06 08:44) 

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