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「クラコヴィアク」弦楽合奏譜完成 [ショパン]

 こんなもの1日で出来る、と、大ぼらを吹いたが結局1週間かかった。難しいからではなく、意外と書く部分が多かったからだ。編成はヴァイオリン2,ヴィオラ2,チェロ、コンバスの6人編成。これは以前にショパンの第1コンチェルトの第2楽章をこの編成で編曲してうまくいったので、弦楽四重奏、プラスヴィオラをもう一人、それにコンバスを入れると、オケ伴の重量感を損なわず、小さいホールで行うピアノと室内楽の演奏会には適度のサイズであるからだ。この編成だと、音楽として必要不可欠の声部はどんな細部も犠牲になることはない。

 このリダクションの仕事はかなり退屈ではあった。自分ではさらったことのないこの曲をよく知る、という意味ではプラスであったが、編曲にあたっては、ほとんど自分で工夫をする余地がない、という意味では、まあ半分写譜屋のような仕事だからだ。正式な曲名「クラコヴィアク 演奏会用大ロンド Op.14」は民族的な色彩が強く、かつ洗練されている。初期のショパンの作品としては、作品の完成度は驚くほど高い。が、「コンチェルト」として考えればたしかに面白味に欠ける。案外この6人編成くらいだと弦の伴奏部分がはっきりと聞き取れて、オーケストラ版のように伴奏部がぼんやりとは響かない。この音楽の新しい魅力を見いだすことは出来ると思う。これだけのためにフル編成のオーケストラを使うのは無駄だ、といえるかもしれない。

 ショパンがこの曲をウイーンで初演するときに、オーケストレーションがなっていない、こんなもの弾けない、と楽員から突き返された、というエピソードは有名だが、確かにこのオーケストレーションでは、オケは退屈で鳴らない。が、曲としてはみるべき素晴らしい内容を持っている。これでこの曲を演奏される機会がもっと増えれば、私としてこの仕事をやった意味はある、と思っている。

 この次は「ラ・チ・ダレムの主題による変奏曲」Op.2にとりかかります。「諸君、脱帽したまえ、天才があらわれた」というシューマンの名批評で知られるこの曲も、意外と弾かれないのは「クラコヴィアク」とおなじような理由による。
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