S氏の訃報（タルゴの続報）

　前のブログで「タルゴ事始め」のような記事を書いたが、これは何か虫が知らせたのだろうか。タルゴを日本で初めて（私の知る限り）模型化した当のS氏の訃報が舞い込んだ。１年前に８０才のお祝いを四日市レールファンクラブ（YRFC)で催したばかりで、それからまもなく体調不良で入退院を繰り返しておられたと聞いていた。私の鉄道熱をこよなく応援してくれ、啓発されることの多かった大先輩である。

　S氏は終戦後まもなく四日市の自宅の近所に住む鉄道好きのガキどもを集めて（私はやっと中学生になったばかり）みずからガリ版刷りの会報を毎月発行し、いろいろ貴重な記録を残しておられる。昭和２０年代の日本はまだ戦火から立ち直れないころで、模型をつくる、といっても、車輪と粗悪なモーターと真ちゅう板、せいぜいよくてED１７のキットくらいしか市販されていなかった時代、使えそうなあらゆる材料をかき集めて製作に没頭した。

　当時、鉄道の先進国は何といってもアメリカである。S氏はUnion PacificやSanta Feなどの最新の情報を入手してほとんど全部を手作りで各時代の列車を製作しておられた。タルゴ列車もその延長線上にある。身近な国鉄や近鉄以外に海外の鉄道にも目を開くきっかけとなった私がどんなに啓発されたかはご想像頂けよう。この頃の私の鉄道への情熱は、今だからいえるが、ほとんどピアノのことなど眼中にはなかったのだ。

　S氏の思い出はいくら語っても尽きない。まだまだ８０才を過ぎたばかり。もっと元気で長生きして頂きたかった．かえすがえすも悔しい。１８才以降、ずっと四日市を離れてしまっていた私はＳ氏の全体像は分からないが、誰か略伝を書いてもらえたら、と思う。執筆された鉄道に関する文章、もしくは論文も膨大な数になり、後世に残しておく価値があると思う。

コメント 4

はじめまして

三重県津市在住の者です。
実は、四日市レールファンクラブの情報を検索していてここにたどりつきました。

S氏の訃報はTMSでも紹介され、ぜんぜん面識のない方ですが、以前のTMS誌上で作品を拝見したこともあり、大変残念に思っております。

さて、本題はS氏とは関係なく、このような記事へのコメントとしては、はなはだ不謹慎なのですが、四日市レールファンクラブのメンバーの方のサイトなど、ご存じないでしょうか。
公式HPは無いですよね。
津市という田舎にいるとなかなか鉄道模型の仲間が見つけられず、できれば四日市の方とお近づきになりたいと思っております。

私の趣味活動や、個人的な事項は私のサイトをご覧いただければありがたいです。
あつかましいお願いですが、何か情報をいただければとおもいます。
よろしくお願いいたします。
by 初瀬春日 (2008-11-03 20:17) 

初瀬春日様
少し前のブログの記事にいただいたご投稿でしたので気がつかず申し訳ありませんでした。

四日市レールファンクラブが今どのような活動をしているかは、土地を離れている私にも良くわかりません。当然サイトを持っている人もいるでしょうが、世代が変わってしまい、私の年代の人たちはほとんどパソコンと無縁な人が多く、ブログで私がやりとりしている人たちは、現在は主にメルクリンの仲間で比較的若い人たちが多いのです。

わかっているのは、四日市の近鉄内部八王子線の日永駅近くのジュニアー模型店でそこを中心に毎月例会（運転会）が開かれていると聞いています。そこに集う人たちはもっと若い世代ですから、それは同じYRFCでももう別もの、という感じを持っています。もし貴方が比較的お若い世代でしたらそちらにアプローチされてみるものいいのではないかと思います。
by klaviermusik-koba (2008-11-17 16:50) 

貴重な情報をありがとうございます。
ジュニア模型は数回行ったことがあります。
機会があれば一度尋ねてみたいと思います。
by 初瀬春日 (2008-11-21 09:23) 

ジュニア模型店主I氏は確か高校時代S氏と同級生で親しい間柄であり、もともと国鉄時代に現場で過ごした人ですから面白い話は聞けると思います。お知り合いになられるといいと思いますよ。
by klaviermusik-koba (2008-11-21 12:35)