SSブログ

「室内楽版」 脱稿 [ショパン]

 かねて編曲を進めていたショパンの4曲のオケ付きピアノ曲。「ピアノ6重奏」版の最後の「アンダンテ・スピアナートとグランド・ポロネーズ」をもって全部完了した。もう一度、ここにリストを挙げる。

作品2  「ラ・チ。ダレム」の主題による変奏曲 変ロ長調
作品13 ポーランド民謡による幻想曲 イ長調
作品14 クラコヴィアク ヘ長調
作品22 アンダンテ・スピアナートとグランド・ポロネーズ 変ホ長調

編成は:

作品2と作品14がピアノ+弦楽四重奏+第2ヴィオラ、コントラバスの「ピアノ7重奏」
作品13と作品22がピアノ+弦楽四重奏とコントラバスの「ピアノ6重奏」

2つの作品にもうひとつヴィオラを追加したのは、弦楽器に重厚さを加えるためと、ショパンがオーケストラのために書いた、どの一つの音も犠牲にしないためである。ほかの二つの作品ではこれで充分、と判断した。どの曲もショパンのピアノパートの書法はすでに完璧であり、変更を加えることはゆるされない。

 この仕事を進めているうち、自分でピアノを弾いているだけでは分からなかったショパンの意図がいろいろ分かってきた。ショパン17才の作品である「ラ・チ・ダレム」ではまだ明らかにオーケストラの扱いが未熟で問題点が多く、かなりの部分に訂正を加えた。それにもかかわらず、ショパンはバス楽器には実に慎重な配慮をしている。チェロとコントラバスを古典的なオーケストレーションのように、無造作に重ねることをさけている。ショパンのピアニストとしての音量を考えた上でのことと思われる。

 作品13以降は私自身のことさらな変更はほとんどしていない。例えばショパンの音づくりの特色である、第2ヴァイオリンとヴィオラの声部が常に上下逆に配置されているので、場合によってヴィオラの音が突出して響くこともあるが、これもショパン独特の意図的な音配置、と考え、私も編曲に際し、それを尊重した。(実際にはどこまで演奏効果があるかは疑問だが)

 この編成は400人程度のキャパシティのホールを想定しているから、普通のピアノリサイタルの中に、これらの曲を弦楽奏者の協力を得て1〜2曲を加えれば、面白いプログラムも組めるだろう。この規模のコンサートであれば経験上、現代のコンサートグランドピアノと弦楽器はよくバランスがとれるはずだ、と思っているが、100パーセントの確信を持つには実際の演奏を経てみなければ分からないこともあると思う。
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

江州石亭

こんな時期ですが、是非生で聴かせていただきたいものです。
by 江州石亭 (2009-05-18 22:24) 

klaviermusik-koba

ありがとうございます。まだ完全に具体化はしていませんがボツボツ準備を始めています。
by klaviermusik-koba (2009-05-19 08:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。