南相木日記（２）

（キオン）
　ここに滞在している間、雨さえ降らなければ必ず散歩に出かける決まったコースがある。４０分程度だがアップダウンのある山道で、結構それなりの運動にはなるお気に入りのコース。自然というのはミクロでみると毎日多彩な変化があり、毎年、同じ時期に同じところに来ても植物体系はまったくちがっている。今年は夏の前半が低気温、雨が多かったせいもあってか、全く見たことのない花に多くお目にかかれる。

　植物には疎い私だが、植物図鑑でみるとどうやらキオン（黄苑）というらしい。夏から秋にかけて乾燥した山地の日当たりのいいところに咲く、とある。３日前にはほんのちらほら見られる、という程度だったのが昨日は日の光を受けて見事な群生がみられた。が、今日は昨夜の雨がたたったのかだいぶんみすぼらしくなってきた。そういえば毎年ジャムが作れるくらい野いちごの群生地が近くにあるのだが、今年は全くの不作。自然には日々、全く同じということがない。考えてみれば毎日同じように暮らしていると思っている人生も同じ日、というのは２度とない。