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エコノミストの「鉄道の世紀」 [鉄道一般]

 「エコノミスト」などふだん私は滅多に読まないが、鉄道特集、ということなので買ってみた。一読してみるとふだん、日本とドイツの鉄道雑誌などから得ている知識には意外な盲点があったことを知らされた。鉄道、ないしは鉄道模型雑誌はどちらも「日本とその周辺」「ドイツとその周辺」の域を出ず、グローバルに鉄道を見る、という観点が欠けていたことを痛感した。まだ発売中である。鉄道に興味をお持ちの方のご一読をおすすめする。

(1)鉄道といえば先進国だけのもの、と考えがちだったのが、いまや、新興国の交通渋滞と大気汚染によって、都市交通であれ、遠距離であれ、鉄道の導入を考えないわけに行かないところに来ている。
(2)ここからが「エコノミスト」たるところなのだが、鉄道ビジネスはこれからどうなる、というのを世界の3大メーカー、カナダの「ボンバルディア」、フランスの「アルストム」、ドイツの「ジーメンス」に日本の連合メーカーを加えた鉄道ビジネスの世界戦略についての考察。

以上が大略の内容である。知っているようで意外と知らなかったことが沢山盛られている。

 たとえば、新幹線のような電車方式とTGVやICEのような機関車牽引方式では、エネルギー消費量が電車方式では半分以下ですむこと。ヨーロッパの車両のほうが座席がゆったりしている、と漠然と思っていたが、座席間隔では新幹線のN700が1040mm、ICE3が920mmと新幹線は意外と座席が広いのである。また、日本は国鉄時代から人を詰め込めるだけ詰め込む、という思想から抜けきっていない、とこのブログで批判したことがあったが、かならずしも最近のデータではそうではないことが明らかになった。環境的に不利な点はあっても日本も結構頑張っているなあ、というのが全体の感想である。

 そのほか、日本の新幹線システムを外国に売り込むにあたって、新幹線のシステムで独立しているJR東海と、新幹線と在来線を乗り入れている(ゲージの問題はあっても)JR東日本とは売り込み方に温度差があって、必ずしも一枚岩でないこと、などなど興味深い記事は多い。
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Akira

おはようございます。

その雑誌記事は興味深いです。最近新幹線デザインに関する日独比較などを考える機会があって、何故新幹線とICEでここまで居住性に対しての違いがあるのかと分析したくなります。確かに旅行から帰る時、新幹線に乗ると航空機(エコノミークラス)のシートピッチの狭さから開放された気分になるほど、その余裕の大きさを感じます。
逆に日本から到着したてにヨーロッパの列車に乗ると、シートピッチではない部分のそのゆったりした感覚に日独の居住性嗜好のベクトル方向の違いを感じる訳です。シートピッチは、確かに大きな方が良いのは当然ですが、そのような数字で表すことの出来る快適性を目指す日本の新幹線と、そうではない部分の快適性にも心を配る欧州の車両デザインにその違いを感じる訳です。(これはあくまで公共交通としての長く使われるための普遍的な居心地の良さや美しさの追求という部分です。)
by Akira (2010-01-09 09:25) 

klaviermusik-koba

おはようございます。

おっしゃるとおりです。もとより、シートピッチとか、座席の物理的な広さだけでは必ずしもより快適、とはいえません。その点、ヨーロッパの車両は静粛性、乗り心地、アクセスやトータルデザインとしての快適性は一般的にいえばよりすぐれている、といえるかもしれません。たしかにデザイナーの立場からご覧になればそうだろうな、と納得はゆきます。

いってみたことはありませんが、そういう意味では中国や韓国の高速列車なども比較してみることができれば面白いと思います。


by klaviermusik-koba (2010-01-09 12:19) 

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