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作品番号のないマズルカ [ショパン]

  旧ナショナル・エディション(いわゆるパデレフスキ版)に掲載されている作品番号のないマズルカに目を向ける人はそう多くはないであろう。52番から58番までの番号が作曲年代順に振られている。一度は出版されたものの、確かにショパンが作品番号を与えなかっただけの理由はあって、音楽的にも必ずしも成功したものとはいえないかもしれない。ただ、これを一通りあたっておくことはショパンのマズルカの和声法、とくに教会旋法の使われ方についての予備知識を得るには格好の作品といえる。

 ショパンがポーランド民謡で多く使われる旋法、なかでもリディア旋法やフリギア旋法とヨーロッパ伝統の和声法をどううまく同居させるか、それによって、普通の曲を書いてもショパンの音楽がポーランド的、いわれる独特の和声法の一端がわかる。ある曲の中では、たとえばF-dur音階の第4音の「Bフラット」とリディア旋法の第4音「H」とを同時に鳴らす、というかなり極端なことを試みている。これらを一通り勉強しておくと、一見普通の調性、と思われるところが旋法であることが意外に多いのに気づく。だからといって演奏上、何が違う、というほどのものではないかもしれないが、ショパンの和声法を見直すきっかけにはなる。(札幌)
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