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ショパンのコンチェルト弦楽4重奏版(1) [ショパン]

 昨今、日本で流行しているショパンのコンチェルト弦楽4重奏版の演奏について、注意を喚起しておきたいことがいくつかある。

 バルトゥオメイ・コミネックの弦楽四重奏版が現在手元にあり、あるところで演奏するためにこれにコントラバスのパートを書き加えて欲しい、という依頼をうけた。まずその作業の前に、編曲全体を見渡してみた。ショパンがコンチェルトを弦楽四重奏の伴奏で演奏したことがあるのは多分事実であろう。演奏会場の可能性としては多分パリのサル・プレイエルがいちばん高い。しかしサル・プレイエルの収容人数はせいぜい3〜400人前後であったようで、この数が正しくないとしても、少なくとも現代のフルオーケストラに対抗出来る大音量のスタインウエイのフルコンサートと2000人以上の大ホールを前提として考えてはならない。しかも伝えられるようにショパンの弾くピアノの音量はごく限られたものだったようである。

 大ホールで聞いたこの種のコンサートで弦楽のパートが貧弱でとても聴くに堪えない、という苦情を多くの人から聴かされる。もっともだと思う。もし仮にこの形態で演奏するなら、現代でもせいぜい400人くらいのホールが限度で、しかもピアニストは全体の音量のバランスを考えながら弾くべきで、フル・オーケストラと同じように弾いたのでは効果は全く限定されたものとならざるを得ないのは容易に察しがつく。弦楽四重奏は弦楽四重奏であってオーケストラの代用品にはなれない。ピアノをスタインウエイでかっこよく大音量で弾きたいのならこの企画は考え直した方が無難であろう。コミネックの編曲自体にも問題なしとしない。これについては後述する。
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