ポーランドの鉄道（２）

（どちらも1960年３月ワルシャワ・チェントラルナ駅で私が撮影したもの。当時は現在のように地下ではなく地上駅であり、架線は見えるものの、私が乗車しようとしたこの列車は蒸気牽引だったことがわかる）

　ここで舞台は５０年前のワルシャワに戻る。なぜそういう気になったかというとたった１日の日帰り旅行の間にあれ？　と思うことに２、３遭遇したからである。一つはクラクフ駅に到着した機関車を撮影しようとしたとき、駅員に制止されたのだ。一体なぜだ？　こんなことは社会主義時代の統制厳しいときにさえ、経験しなかった。当時にあっても軍事施設や橋りょうなど特別な施設が入らない限り、禁止された記憶はない。その証拠がこれらの写真である。ともあれ、クラクフで予定していた写真撮影は遠慮がちなものにならざるを得なかった。折角の撮影日和だったのに残念！

　もう一つ、帰りの列車で。１等客には茶菓のサービスがある。ワルシャワに帰り着くのが９時半頃になるので食堂車で夕食をすませておこうということになり、サービスの女性に「食堂車は営業しているか？」と尋ねた。「ヤー」の答えが返ってきたので３０分ばかりあとに出かけたら、ほぼ満席だったが、一つだけ「予約席」のフダがあるテーブルがあった。しかし我々は予約した訳ではないので、やむなく、空いているカウンター席でサンドイッチでも食べよう、ということになった。ところが、である。女性はフダを取り下げ、「いや、これはあなた方のためのものです」さらに、そこで飲み食いした料金の一切を受け取らなかったのだ。これは今もって理由がわかっていない。確かに私はポーランド観光局のある上層の人と面識はあるが、今回の旅行は本来の仕事を抜け出してのお忍び旅行である。そこまで手が回るはずがない。なぜだ？

コメント 4

こんばんは。
VIP扱いでSPか観光局の方がつけていたかもしれませんね。もしくは1等だったのでサービスしてくれたのかもしれません。私はそういう経験はありませんが。
撮影禁止については、あくまでも個人的な主観ですが、駅員の自主性？によるものかもしれませんね。

それにしても6両に食堂車が付くのは大変羨ましい限りです。もっと延着して貰いたいかもしれません。ｗ
by abe (2010-10-21 22:18) 

abeさん、

日本やヨーロッパで食堂車が消えつつあるいま、食堂車のついた列車は希少価値となり、こういう国に頑張ってもらうしかないのでは、と思いますがこれとていつまで続くかわかりません。

飲食代については私以外の乗客は皆普通に支払っていたようですのでますますわかりません。概してポーランド人は非常に親日的ですがそれにしてもねえ・・・。
by klaviermusik-koba (2010-10-22 09:13) 

こんにちは、kobaさん。

貴重な60年代のポーランドの写真をありがとうございます。機関車は明らかにドイツのものですねぇ。戦後ドイツから接収したものかも知れません。
客車も貴重です。さて、食堂車ですが１等車の客だから座席を取っておいたというのは、何となくわかる気がします。食事代が掛からないというのは、当局の配慮かも知れませんね。私が初めて東独を鉄道旅行した時も、ホテルのレストランで長蛇の列に並んでいたら、あなた方は並ばなくても良いとすぐに通されたりしましたし．．．。

食堂車が無くなりつつあるのは、ポーランドでも現実のものになるかも知れませんね。ただ、列車内供食という概念は、どんな形であれまだまだ西欧諸国の鉄道でも根強いものがありますから、まだ大丈夫と言えるのではないでしょうか？
by Akira (2010-10-22 10:27) 

おはようございます。akiraさん。
いくつかの写真から選んでみたのですが、やはり形式まで特定出来ないけれど、ドイツ系かも知れませんね。電気機関車の写真はほとんど見あたらないところを見るとまだまだSL天国だったのでしょう。このような状況はポーランドに限らず、社会主義政権下にあっては1960年当時どの国もにたようなものだっと思われます。

それと、当時は外国語はドイツ語しか通じなかったのですが、いまは特殊な人以外ドイツ語は全く通じません。
それとポーランドもモータリゼーションのおかげで鉄道も民営化したものの苦境に立たされていることはやはり同じようです。
by klaviermusik-koba (2010-10-23 08:35)