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ショパンの弾いたオルガン [日本ショパン協会]

 ワルシャワ大学のすぐ横にヴィジトキ教会というロココ風のあまり目立たない教会がある。今回ワルシャワにいったら見ておきたい、と思ったものの一つである。ショパン13才の時、毎日曜、生徒のミサのたびにショパンはオルガンを弾き、ほかの生徒たちは歌う、というふうだったようである。

 もとより、この教会もオルガンも何度かの戦火で消失したが、いまはほぼ昔の通りに再建されている。なぜ興味があるかというと、前にもブログで書いたが、ここでの経験が後のショパンの作風にすくなからず影響しているのではないか、と私は考えるからだ。

 ちょうど私が訪れたとき、夕刻のミサが始まるところだったので、私はずっと門外漢ではあるものの、一緒にミサに参加していた。こうして聞いているとそこで演奏される音楽は簡単な賛美歌、グレゴリオ聖歌と思われるもの、などいろいろだが概して素朴なものであった。オルガンに合わせて歌う独唱、それと会衆と交互に歌う交唱などこういうごく素朴な形のミサは多分これと似た形でショパンの時代からずっとつづいているのではあるまいか、と思えてくるから不思議だ。そもそもこういう日常的な民衆のためのミサは本来素朴なものであって、日本人である我々は、ミサというとすぐバッハとかベートーヴェンといった超大曲を思いうかべ、いや、もう、かなわん、となる悪い癖がある。

 ここでショパンがどんな音楽に接したかは明らかではないが、グレゴリオ聖歌やおそらく中世の音楽にも触れたことであろう。ショパンのあまり演奏されないノクターンなどにこういうオルガンの中世音楽の影響がいたるところに顕著にあるのだが、ふだんあまりこういう面は指摘されない。ショパンの心臓が祭られている祭壇を見てもショパン理解に直接役立たないが、こういうものを見ることで、案外身近に当時の雰囲気を知ることは出来るのではないか。
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ake_i

お帰りなさい^^

この教会のすぐそばに滞在していたので、毎朝、礼拝していました。
ショパンがここでオルガンを演奏していたと思うと、187年前が何かとても昔のことでないように感じました。
by ake_i (2010-10-26 19:01) 

klaviermusik-koba

多分昔もあんな感じだったのでしょうね。もっと素朴だったかもしれません。わたしにはポーランド語のお祈りはまったく理解はできなかったけれど、雰囲気はわかる気がしますね。
by klaviermusik-koba (2010-10-27 11:25) 

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