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原発問題(4) [一般向け]

 私は週刊誌はほとんど読まない。そもそも電車のつり広告の見出し以上の内容は期待出来ない、と経験上わかっているから買う意味がないのだ。その中で「朝日ジャーナル」はもう事実上廃刊になっていたのが「原発と人間」特集として緊急速報版を出したのが5月24日。震災後1ヶ月あとのことである。じつに読みごたえのある雑誌である。

 この雑誌は3ヶ月後の今読みなおしてみても内容は色あせていない。大震災は自然現象だから誰のせいにもできない。福島原発はこれは明らかな人災(あえて反対運動をしなくても容認してきた我々の責任)だから今後起こらないようにしようと思いさえすればすぐにでもやめることはできるはずだが、しかしそう簡単にやめることができないのはエネルギー問題以外にもいろいろあることもわかる。しかしこの期に及んでもなお世論調査では日本中で「原発はすぐにやめるべき」というイタリアやドイツのような議論にほとんどならないのは不思議というしかない。これだけひどい目に遭っていてもとりあえず自分の所の電気さえどうにかなっていればまあ良い、というぬるま湯的発想から脱していないのか。それに原発被害を受けた当の被害者からも非難めいた言葉はあまり表立っては出てこない。反原発運動があまりない、というのはマスメディアがあまり取り上げたがらないので(政府や東電が表立って規制しなくても広告料の収入に影響があるというのはありそうな理由)我々が日常接するメディアにはすでにバイアスがかかっているのだ。

 大震災の起こるずっと以前の話である。札幌で乗り合わせた、かつて原発で働いていた運転手の話を聴いたことがある。「確かに原発で働けば収入はいいが、あんな所で働いてたら、体は絶対に持たない。収入はタクシーの方が低いが命には替えられないからね」。事故がまだ起こっていない通常の業務にしてこれである。大事故が起こってしまった現在、おそらくこれから何年かの単位で放射線の影響による死亡者は飛躍的に年を追って増え、水俣病のように奇形児や難病患者が生まれ、それを国が責任を認めるまでさらに気の遠くなるような時間がかかるのであろうと思うと暗澹とした気持ちになる。
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