SSブログ

コシ・ファン・トゥッテ [オペラ ]

 「Cosi fan Tutte」(女はみんなこうしたもの)は今回で8回目の上演であり、新奏楽堂がオープンして2回目となる。演出も前回に続いて直井研二なので、ある程度手に入ったものであろうと思われる。芸大の内情を多少知っているものとしては、限られた予算の中であれだけの実の高いオペラが上演出来るようになったのはまさに隔世の感があると感じ入った。

 何より、声楽科、オケの質の向上はめざましい。というわけで私は3時間半のモーツァルトのオペラをたっぷり楽しむことができた。「Cosi fan Tutte」の筋書き自体は馬鹿げたドタバタ喜劇であり、台本もさして感心したものとはいえないけれど、何よりこのオペラの完成度の高さと、ドラマの内容に奥行きを与えているのはモーツアルトの音楽に他ならない。

 この台本は最初サリエリに渡されて書き始められた、といわれるがどういういきさつからか、モーツアルトがオペラとして完成させることになる。台本がちゃちなのでオペラとしての真価が認められたのはつい50年ほど前からである。

 どの役も充分楽しめる高いレベルを保っていたのは素晴らしかったが、なかでもグリエルモ役の横山浩平とデスピーナ役の朝倉春菜を特筆しておきたい。デスピーナは小間使いとして、いわば脇役ではあるものの、ニセ医者に化ける、公証人に化ける、とさまざまなキャラクターを使い分けなければならない難役である。この難役のこなしかたをみて、ここまで芸大オペラの質が向上したか、との思いを持った。昔、学芸会に毛の生えたような程度の芸大オペラを知っている身としては、である。

 1幕の終わったところで兵士を乗せた船が出航するのを暗示する、布きれで作った、いかにもチャちい船のぬいぐるみが会場の通路を走り回った。チャちいのを逆手にとった演出で会場を湧かせた。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

別荘の利用のされ方上海地下鉄雑感 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。