ÖBBとスウェーデン製の機関車(2)

　この機関車のタイプそのものはスウェーデン向けのメルクリン定番商品で，毎年カタログにのっているから特にめずらしいものではない。ただ２００６年のカタログには同じ塗色のSJ版が出されているが、ÖBB版と比較してみると細部でちがう点が多い。輸入に当たっては実物は電気方式がちがうから直流から交流へサイリスタで変換する、という大きな変更はある。

　模型ではちょっと見にはロゴが変わっただけのようだが、さすがメルクリンといおうか、たとえば、よくみるとタイフォン（警笛）がダブルになっていること、排障器の形状や大きさがちがう、ＡＳＥＡの表示板がもともと台枠につけられていたのを車体中央に移されている、パンタがＺパンタに変更された、など幾つか細部で変更点がある。ÖBBはこのタイプの機関車を１０両購入したが、たぶんスウェーデンの伝統的なオリジナル塗色のまま購入し、徐々にオーストリア色に変更していったものと思われる。２０１１年のカタログにある実物の重連写真はいわばその過渡期に撮影されたものであろう。基本的に貨物仕様なので高速列車には向かず（とはいえ最高時速１３５キロ）主に貨物列車で運用されている。

　この茶色の塗色はカタログではよくわからないが、実物を手に取ってみると、オーストリア塗色の暗赤色とは全くちがう色合いであることがわかる。なるほど、かたやスウェーデン色、かたやオーストリア色、と納得がいく。メルクリン社としては少々飽きられたこの機関車を、２両セットでなんとか売りたいからだろうが、こういう絶妙な組み合わせはそうあるものではない。

コメント 3

kobaさん、こんばんは。

今年もよろしくお願いします。
さて、ASEA製のこの機関車は、私も好きなフォルムなんですが、何故かÖBBの実車は、中々見掛けませんでした。ミュンヘン中央駅にはオーストリア方面から数々のÖBB機関車が入線してくるんですが、今はTaurusでその前はSerie 1044ばかり．．（もちろんこれも好きです）

で、以前一度鉄道を使ってスロベニアに行った帰り（行きは夜行だったので車窓は楽しめませんでした）Graz駅だったかスロベニアとの国境だったか、ようやくこの機関車に出会えました。車窓からしか見えませんでしたが、感動したのを憶えています。きっと運用範囲が決まっていたのでしょうね。

メルクリンからSerie 1044/1144を出して欲しいと願っているのは私だけではないはずなんですが、何故かメルクリンは出しません。
by Akira (2012-01-09 17:01) 

akiraさん

おめでとうございます。びっくりしました。まだ記事を書き終えたばかりだったので、細部のミスの訂正をするひまもありませんでした。確かにミュンヘンに入線するオーストリアの機関車は、どうしても幹線用の最新型が多いようですね。こういう変わったのが見られないのはそのためかも知れません。でも実物はご覧になっているのですね。

メルクリン社もときどきニヤっとするようなものを出してきますから、こういう遊び心が私は好きなのです。今年もよろしくお願いします。なるべく運転会には顔を出そうと努力しますのでまたどこかでお目にかかれればうれしいです。
by klaviermusik-koba (2012-01-09 17:24) 

立て続けに失礼します。（社宅の工事で部屋に居なくてはならないもので。）

OeBBの1043型はサイリスタ制御のサンプル機として導入されたため少数派で、量産は鳩胸の1044型となりました。
オーストリア南部のVillachを中心に、Tauern峠からベニス、スロベニア方面の運用が中心だったため、ドイツに乗り入れる事は少なかったと思われます。
結局Taurusの大量増備で、事故廃車となった一両を除きスウェーデンの私鉄に売却され、こちらも里帰り…となっています。
今回のメルクリンのセットの2色の他に、オレンジ色に細線という塗装も存在します。

Akiraさん：RocoのAC版Loksound付1044を持っており、ディティールとサウンドは良いですが、いかんぜん古い型なので電球が中央に付いていてプラ車体に透けて、前照灯は暗いです。
毎年メルクリンの新製品で期待しているんですけどね。
by BOAC VC10 (2012-01-20 10:06)