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フェルメール [一般向け]

 フェルメールは私のもっとも好きな画家の一人で、日本で展覧会があったときは見ているし、外国の美術館では散発的にではあるものの、実物には接している。現在知られているだけでも世界で38枚くらいしか存在しないらしいのだが、存在している絵をすべて、コンピュータを駆使して複製にするだけでなく、3世紀前に書かれた当時の色彩に復元し、同じ額を複製して、描かれた年代順に展示している画廊が、銀座松坂屋裏にある。

 昨今、録音状態のひどい時代の音楽を、これまたコンピュータで処理して、雑音を消すのはもちろん、まさにいま録音されたのような、鮮明なCDとなって20世紀初頭の名演が蘇っていることを考えると、こうして当時の色彩のよみがえったフェルメールをみるのもなかなか悪くないなあ、と思う。奈良や京都の古いお寺もそうだが、だいたいが、古ぼけてすすけた色だから、修学旅行などで見学しても中学生にはあまり印象に残らないのが普通ではなかろうか。古いお寺も建造当時はどれも絢爛豪華、金や鮮やかな赤で彩られ、当時の人には素人目にもすごい、ということは分かったはずである。

 実物で、すすけた状態で見る、というのも鑑識眼のある人にとっては確かに意義があろう。しかし、当時描かれたであろう状態で見られるならば、そのほうがより実態に近いものが見られるわけであるから、ほんものを見た目で、この複製を見ると、また別な美しさを発見出来る、という余録もある。フェルメールくらいの数と作品の大きさだと、こういう企画も実現出来るが、レンブラントなどになるとちょっとむつかしいのではないか、とも考えた。

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JT

私もフェルメールの絵が好きです.初めて顕微鏡を手作りして微生物を観察したアントニ・ファン・レーウェンフック(Antoni van Leeuwenhoek)のスケッチの一部はフェルメールの手によるものという可能性があるそうですね.画風がそっくりですがフェルメールの死後に書かれた物は全く違うそうです.分子生物学者の福岡伸一氏が書かれていました.
by JT (2012-04-09 11:40) 

klaviermusik-koba

なるほど、そういうこともあるのかも知れませんね。ただフェルメール自身も生涯のうち画風が変わっていますから、判定は難しいでしょうが、フェルメールの好んだ、左の窓から柔らかい光が差し込んで、主人公にスポットを当てる様な構図だったら、ひょっとしたら、と考えるひとも知れません。
by klaviermusik-koba (2012-04-09 14:08) 

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