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ウーヴェ・ハイルマンさん [音楽全般]

鹿児島のあるオーディションの審査で数年来の知己を得ているStuttgart出身の声楽家。世界的な指揮者のもとでオラトリオの分野などでずいぶん活躍をした人だが事情があって日本人の奥さんと鹿児島に暮らして居る。非常にパッショネートな人で、私と教会音楽の話、特にバッハの話になると際限がない。今年はマタイ受難曲を鹿児島初演したのだそうである。日本には教会音楽の伝統がないのだから仕方がないとはいうもののこの知識なくしてバッハは理解できない、という点で意見は一致し、オーディションのあとの講評でも二人で掛け合い漫才みたいに飛び入りでやりあった。(これはもちろん日本語で)

彼は「なぜピアニストがそんなことに興味を持つか」ということすら意に介さない。こういうコスモポリタンな人は自分に興味を持つ話し相手は誰でもいいのである。日本でこういう話ができる人に久しぶりに出会えたことがなにより嬉しいらしい。「私も教会カンタータやヨハネ受難曲くらいは指揮したことはある」といったら目を輝かせて「来年も「マタイ」をやるつもりだからぜひ指揮をするか、通奏低音のチェンバロを弾いて欲しい」というので「私がもう十年若ければ他の仕事を全部放り出してもやりたいが、もう数字付き低音の細かい字も見えないほど目が老化してきたしその他の事情もあってむつかしい」と答えたらとても残念そうな顔をした。私も心底残念に思う。人の出会いは難しい。この出会いがもう十年早ければ、もしかしたら私も「マタイ」の演奏にも関われたかもしれない。が、あの3時間半もかかる曲にはもういまや精神力が持ちそうにない。でも鹿児島にゆく楽しみの一つはハイルマンさんと話ができることにある。(鹿児島)
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