野外劇場のコンサート [音楽全般]
ヨーロッパには廃墟趣味、とでもいうべき一つのジャンルが存在する。古い城や劇場など廃墟になったものを、活かして演劇、オペラ、コンサートなど、とくに夏は地中海沿岸は雨が滅多に降らないので、観光客目当てに様々な催し物が多い。
これはシチリア島のタオルミーナという保養地でたまたま私が滞在したとき、ミュンヘンのオーケストラとサワリッシュの指揮でベートーヴェンの第九のコンサートがあり、そのときの模様である。ふつう日本人なら、まず聴こえないだろうから拡声装置を、という発想になるのだが、そういうものはほとんど使われない。あくまでありのまま、で最小限必要な山台と椅子が置かれるだけの簡素なもの。
オケもごく普通の2菅編成、合唱も普通のコンサートの人数である。私は試しに一番上の遠い位置に陣取って鑑賞した。曲の細部も良く聞こえるし、迫力にも欠けるところがない。当然のこととしてわかったのは迫力、とは音量の大きさではなく、音楽の内容、ということで、多分ここでチェンバロのコンサートをやっても演奏と曲がよければ同じ感想を持つであろう。一万人くらいは収容できそうなギリシャ劇場である。
オケの向こうには廃墟の割れ目からタオルミーナの町と地中海が見渡せるすばらしいロケーションにある。
2013-09-15 13:41
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