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サンマ [札幌日記]

今年はサンマが不漁のようである。我が家でも実はまだお目にかかっていない。だが札幌に来てみると少し状況が違う。いつも夕飯を食いにゆくホテル地下の店にでっかく「歯舞直送!新鮮サンマ定食」という張り紙があったのをみて、とりあえずサンマ好きの私は注文した。新聞によれば、今年は不魚の上、小ぶりのものばかりで値段も高いからやめた、という主婦のコメントが出ていたので、あまり期待はしていなかったが、出されたものは、かなり大振りで油も乗っていて実にうまい。これで900円なら安い。

だが少し気になって女将に聞いてみた。「歯舞ってソ連領だから、サンマとっちゃいけないんじゃないの?」「ええ、でも歯舞の島にゆくわけじゃないんです。歯舞と根室半島の境界以内なら日本の漁船もいいわけですから」。なるほど、そういうわけか。「でもかなりヤバいところで取ってるんだね」「正確なことはわかりませんがちゃんと合法的に入ったサンマです」。よく知っているわけではないけれど、東京でこんなうまいサンマは食べたことがない。普通私は苦いところは食わないのだが今日は全部食べてしまった。

「サンマは歯舞にかぎる」



丘珠空港 [札幌日記]

札幌といえば新千歳空港が普通使われるが、丘珠空港という、札幌市内のもっと便利なところにもうひとつ空港がある。しかしこれは滑走路が1500m、ということで、ジェット機の離発着に必要な規定の1650mを満たさないため、もっぱら道内のプロペラ機だけに使われるだけの文字通りローカル空港である。

ただ、物理的にいえばジェット機は飛べないわけではない。規定通りに離陸のとき、満席であってもエンジン性能のフルスロットルでなく、一段階落とした状態、フラップも半分におろした状態、と余裕を持たせた離陸でも充分可能なのだそうだ。なので、丘珠空港をもう少し整備して、札幌の第2空港にしよう、という論議が持ち上がっている。しかし、規模から見ても新千歳の補完役、関西でいうと関空と伊丹、というような関係になることは期待薄であろう。

ただ、丘珠空港は地下鉄も近くまで来ているし、なんといっても札幌市内にあり、私の職場の大学の野球のグラウンドをもっているくらいの至近距離にあるので、丘珠空港が羽田などの長距離に使えればいうことはないのだが、これはいろいろの制約、条件を考えると無理であろう。これまでも廃止論まで出た丘珠空港空港存続、振興のため、札幌大谷大学から、学生がバンドを組んで出かけ、乗客歓迎の旗ふり役に一役買っているくらいであるから、がんばって欲しいが、それでもせいぜいローカル空港なりの小型ジェット機使用くらいしか現実味はないようである。(札幌)

JR北海道のいま [札幌日記]

札幌市内の紅葉もいまがさかりである。いちょう並木の金色、もみじの紅葉が対照的でまことに美しい。

なにかと問題の多いJR北海道だが、11月から減少ダイヤが発足する。列車の間引きや臨時列車の運転休止も含めて、「46%の座席減」になるというからハンパではない。要するに列車がとつぜん半分になってしまうということ、それに加えてスピードダウン、これも戦後石炭不足をカバーするため全列車のスピードダウンをした、といういずれもいわば戦後の混乱期の国鉄のような状態なのだ。年末年始はジョイフルトレインや観光専用の列車まで総動員するというが、そもそも観光列車は座席数も少なく、定期列車用に作られていないから、一般列車としてはなにかと使い勝手が悪い。それでも焼け石に水であろう。ハイデッカーの車両が多いから速度制限の問題も発生するかもしれない。トロッコ列車も? いくらなんでもまさかね。

混乱を避けるためにJR北海道ではなるべくバスを利用するよう呼びかけている。応援を競争相手に頼るというのも背に腹は代えられないからだろうが、皮肉といえば皮肉で、いったんバスにいってしまった乗客をまた鉄道に呼び込むのは難しくなろう。札幌ー函館間、札幌ー女満別、札幌ー釧路間といった重要路線は飛行機、という手もあるから、乗客減に悩んで何度も存続か、廃止かでゆれている、道内の航空業界はもしかしたら息を吹き返すかもしれない。とあれやこれや目のはなせないJR北海道ではある。

いっぽう北海道新幹線の函館の駅名をめぐってごたごたが続いている。新幹線函館駅は函館の隣りの北斗市に存在するので、北斗市は「北斗函館」、いっぽう函館市側は「新函館北斗」を主張し、さやあてが続いている。これらの話題が地元有力紙、北海道新聞の紙面トップをかざっている。

我々とっては北斗函館でも新函館北斗でもどちらでもいいのだが、あたらしい駅名を決めるにあたっては昔からどこでもその手のごたごたはつきもので、複数の市町村の顔を立てるために駅名がやたらと長くなり、利用者には不便、まぎらわしいことが多い。それよりも、いまのJR北海道の状況をみていると、そもそもこれで新幹線の運転の安全性が保てるのだろうか、と心配にもなる。(札幌)

無題 [札幌日記]

毎週ほぼ札幌に出かける火曜日はだいたい飛行機はがら空きの日で、通常予約などしない。だがまあ念のため、とネットで見たらJALもANAもお昼過ぎまで札幌便はほぼ満席。これはこまったなあ、ととりあえず早めに空港にでかけ、なんとか一席ゲットできたものの、一体なぜ今日はこんなに混むの?とカウンタできいても、なぜでしょうねえ? 私にもわかりません、という。前日まで連休だったからその影響? もしかしたら台風が来るからそれまでに目的地へすこしでも早く行っておこうという人が急に増えた? いや、どれにも当てはまりません、という。航空会社にもわからない理由で乗客が急に増えたのである。

ちなみに、空港の表示板にX(満席)と表示があっても、一応カウンタで交渉してみる価値はある。「クラスは問わない、一番早く札幌に着ける方法は?」ときいてみる。そうこうしている間にもキャンセルが出る可能性もあるからだ。大型表示板はいちいちリアルタイムで情報を流しているわけではなさそうである。先週の東京帰りの便はタッチの差で空席を逃した。隣りの窓口の人がわずか数秒の差でファーストクラス席を手にいれていた。くやしい!

10年に一度、という大型台風が通過する今日は電車も、航空機も、そのほかの交通機関もはやばやと運航中止を決めている。当日になって混乱を避けるためであろう。妻がずいぶん前から楽しみにしていた2拍3日のスケッチツアーも前夜電話がかかり、台風のため中止、となってがっかりしていた。で、私はうまい具合に台風の影響はさけて移動したわけだが、念のために自宅に「台風どうだった?」と連絡を入れてみたら「寝てたからわからないけど大したことないわよ」。

原発問題 [札幌日記]

福島原発の事故があって以来、電力事情は、おおよそのところ私が当時考えていた方向に進んでいる気がする。要点は以下の通り。

①「トイレなきマンション」問題。国内ばかりでなく、世界レベルで見ても現在世界中で稼働している原発廃棄物の最終処分をすることがたぶん不可能で、原発をこれ以上ふやし続けることが無理だということがわかってきた。

② 国内では、とりあえず比較的安全な原発を使いながら、新設をやめ(ざるをえない、今後引き受ける自治体は皆無)、その間にだんだんとほかのエネルギーにシフトする。ただ、これについては当初私が考えていた以上に原発再稼働は難しく、シビアな状態になっていることは悪いことではない。

③ 原発がなければ、日本のエネルギーをまかなうのは不可能、といわれていたことはほとんど原発がなくなっても、何とかなっている現状を見れば、あれはウソであったことが明白になった。

④ 節電が思いのほか進んできた。これは戦中派の私にいわせればまだまだ節電の余地はあると思っている。電気代が高くなれば人間は当然節電の工夫をするものだ。使用電力が減るのは、電力会社にとっては望ましくないことかもしれないが、地球環境にとってはいいことである。

⑤ 原発は一番安全で安いエネルギー源だ、とさんざん吹き込まれてきたが、これまでの経緯を見れば、一番高価で、危険で、非効率なエネルギーであることも明白になった。(何しろあまり必要のない夜中でも発電を続けている)

⑥ そこへもってきて、今回の小泉発言である。あの内容は我々が考えていることとだいたい同じで、「変節」と世の中からたたかれようが、当たり前のことを言ったまでで、世の中の普通の人は、原発関係者をのぞいてはたいていそう思っている。(原発関係者のなかにもそう思っている人は少なからずいるであろうが立場上表立っていえないだけ)

⑦ 今後は福島問題をはじめとして、どういう手だてで現在ある原発をやめるか、という「原発のたたみかた」の議論が活発になるであろう。ドイツやイタリアのように、トップが「今後は原発をやめるのだ!」と宣言してもしなくてもいずれその方向に向かうと見ている。ただ能率が悪いという違いだけのような気がする。

北海道、という日本の中ではやや特殊な状況におかれている地域も、昨年の冬は原発なしではたして越せるか、という強い危機感があったが、地方紙を読んでいると、今年はだいぶん余裕が感じられる。(札幌)



通奏低音はけっこう奥が深い [札幌日記]

「谷の匠」と称する札幌大谷大学の、先生、学生が中心になってやる室内楽のコンサート、今回はバロック音楽、ということで、私はバッハのカンタータ202番、結婚カンタータの通奏低音のチェンバロを担当することになった。本番は明日。最後の総練習である。

私のこれまでやってきた通奏低音なるものは、和声学のバス課題を即興でやるようなもの、と考え、それなりの本を読んで勉強もしたが、所詮素人である、ということを思い知った。カンタータの通奏低音をただチェンバロで和声を充填するだけなら、それほど、難しいものでもない。が今回はルネサンス音楽、バロック音楽が専門のJ先生から、私のやり方についてずいぶん注文を付けられた。「先生、それじゃダメですよ」と彼は遠慮なくいう。ただ和声を充填するだけではなく、その音の数、アルペッジョのやりかた、和声の選択の仕方など、多岐にわたる。 J先生と私は息子ほどの年が違うが、「なるほど」とこの機会にいろいろ素直に教わり、「通奏低音なんて楽なもの」という私の安直な考えはだいぶん修正された。

たとえば終止形の和音をただのドミナントにするか、7を加えるかというような一見単純と思える問題も、まあどっちにしてもこの際大差ないじゃないか、と私などは考えるのだが、バロック音楽ではそういうのものでもないらしい。で、私は生徒になったつもりで、いろいろ教わりながらやっていたのだが、しかし私の考えというのもある。3番目のアリアの中間部でわたしがかなり強烈な不協和音を連続して使ったら(とはいえ、バッハのスタイルの範疇にある程度なのだが)「先生、それはいくらなんでもやりすぎじゃないですか」。

が、なんといわれてもここだけは私は頑として応じなかった。「ここばかりは私は絶対変えるつもりはない」。彼もしょうがないなあ、という表情で「わかりました」という。私は音楽に関する彼の真摯な取り組みがよくわかっているから、聞くべきはきく、私もいいたいことはいう、といった忌憚のないやりとりをしながら音楽を作って行くのが好きなのである。年齢は関係ない。

通奏低音もなかなか奥が深く、あなどりがたい。ただ、古楽に関する演奏法の伝統というものは、ロマン派時代の間に一旦途切れてしまっている歴史を考えると、現在ではいろんな人のいろんな考え方があって、どれが一番正しい、というものでもない、ということも念頭においておく必要はあろう。

台風余波 [札幌日記]

台風は東京を直撃し、昨日札幌に立つ予定だったが航空機は全便欠航。前回の東京大雪の時とちがって今回はインターネットがうまく働いて無駄な動きをせずに済んだ。居ながらにして発着状況や予約状況、羽田の駐車場の込み具合までわかるからである。当然この日はお休み。問題は今日。天気は快晴。まだまだその余波はつづき、札幌行きの便は夕方まですべて満席。夕方からのカンタータの練習は出られそうにない。この曲、まだまだ全然できていないので練習は一回でも多く欲しいのだが、止むを得ない。うまく行って現場につくのは20時ごろでちょうど練習が終わった頃。


これでもマシな方である。この逆、つまり札幌から東京に向かう便は今日はすべて満席。連休で北海道のツアーに行っていた人が昨日帰れず、いっせいに集中するからだ。これは明日以降ようやく通常に戻るのであろうが、一番ダメージを受けたのはツアー会社と航空会社であろう。逆にホテルはうるおったかもしれない。8年の間にはじめて私は影響を受けたが、これでも台風で被害を受けられた人々からみればものの数ではない。

札幌の路面電車 [札幌日記]

昨年度よりは忙しくなったものの、だいぶん要領も良くなってきたので、さいわい、数年前にやられたような、過労による帯状疱疹などにはいまのところかからないですんでいる。札幌はあいかわらずだが、東京の真夏の暑さに閉口して札幌に降り立つと快適で、東京では邪魔であった上着がちょうどよくなる。Tシャツのまま降りた乗客が「さむいねえ」といっている。日本中気温はどこでも同じ、と思って旅行しているのかもしれない。

フライトは快適だったが、それにしても今日の新千歳空港の濃霧、ハンパではなかった。ほとんど一寸先も見えないのによく着陸できるものと感心する。客室内のモニターをみていると、着陸寸前になって、ようやく滑走路の誘導灯がみえはじめ、何事もなかったように普通に着陸。すごい。翼のすこしうしろの席にいたが、キリで翼が見えないほどなので、どのように飛んでいるのか、まったくわからない。着陸してからもほかの飛行機の機体はぼんやりとしかわからず、電灯くらいしか見えないから、地上でも下手をすればぶつかるのではないか、と心配になる。

こちらのニュース、やや旧聞に属するが、札幌市電の新しい路線が認可された(といっても一駅分くらいの距離だが)。これによって路面電車は環状に運行できることになる。繁華街であるすすき野を中心に環状に市電があるのはいいことだと思う。ちょっとした距離の移動に地下鉄は階段の上り下りは大変だからだ。このように中心部だけに路面電車を走らせる、やや長距離になると地下鉄や郊外電車、というすみ分けを考えているようだ。いまデモで騒動になっている、トルコのイスタンブールがタキシム広場を中心に、レトロな市電を走らせているケースに似ている。市民はもちろんだが観光客にも人気がある。そういえばこのデモ騒ぎ、あの市電はちゃんと運行しているのだろうか。(タキシム広場の路面電車、いずれまたブログでとりあげます)
(札幌)

新年度にあたって [札幌日記]

 今年も新入生を迎えて,明日入学式が挙行される。今日はその準備で大学は忙しい。札幌大谷大学の芸術学部長の仕事はまだ任期を残しているので少なくとも今年度いっぱいは続く。もういくらなんでもこの年になって大学の仕事はなくなりこそすれ、増えることはあり得ない、と生活設計をたてていた。もともと70歳で札幌大谷大学の仕事を依頼された時でさえも、70歳から始まる仕事なんてあり得ない、と思っていたくらいだからこれが最後の大学関係の仕事、と当然思っていた。

 ところが今年度から新たに客員教授として週一回とはいえ、昭和音楽大学にかかわることになった。自分でも信じられないことである。洗足学園大学の仕事はそのまま続く。今年いっぱいがかなりハードで体力がもつかどうかが心配だが、まあ、なに、どうなるかは運を天に任せるだけである。体力がつきたらそこまでよ、とあきらめるだけのこと、と自分で割り切ったら気は楽になる。自分でも案外だと思うのは、いまのところ、若いときに比べてそう目に見えて体力は落ちていない,と実感することである。思うに、人間が生涯に使える体力の総和はだいたい決まっていて、若い時から私の体は大病はあまりしかなったものの、とくに頑健というわけでもなかったから、体力を小出しに使ってきた結果、いまだにもっているのではないかという気もする。天才的な人間は若い時から精神力,体力を途方もなくたくさん使うから若くして死ぬことが多いだけではないか。どう年を取るかは人により千差万別。誰にもわからないのは明日どうなるかであって、心配しても仕方がない。その日その日を精一杯生きるしかない。

 札幌の雪もだいぶん溶けたとはいえ、まだまだ幹線道路以外はは歩くにも難渋するほどの雪が残っている。今年はまさに記録的な大雪となった。札幌市の除雪費用はとっくに底をつき、もう余力は残されていない。まだ山積みの雪は、このまま気温が上がって溶けるにまかせるしかないようである。

追記:地方紙に目を通していると、全国紙にはない面白い記事にお目にかかることがある。このところ札幌市電の記事がよくみられる。いまの話題は、札幌の路面電車の延長の是非を巡っての議論が多い。現在の「コ」の字型の路線を延長して環状線型にするかどうか,というもので今のところ市民の反応は半々のようである。現在はつりかけ式のレトロな車両ばかりだが、昨日新しい低床式の3両連接のモダンな電車の試運転があって市民を驚かせた、とある。詳細は不明だが、写真を見た限りでは鹿児島市電などで広く採用されているアルコ製のようである。もしかすると路線延長をにらんだアピールかもしれない。現在3編成の導入を予定しているが実際の営業運転は2015年になる,とのこと。
(札幌)

東北の春 [札幌日記]

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羽田空港はこのように穏やかだが・・・
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十和田湖がこんなにくっきりと見えるのもめずらしい
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雪に覆われた奥羽山脈、マシュマロみたいに山頂に雪をいただいた鳥海山
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飛行機は新千歳空港に向けて高度を下げ、手に取るように見える青森市(エンジンの上端にかかって見える)と陸奥湾


東京はもうすっかり春で桜便りも聞こえるが、少し北へ飛ぶとまだまだ冬景色真っ最中。
豪雪だった今年の冬から、ようやく息を吹き返しつつあるように見えるのが、今のところ都市部だけだというのが上空から見てもはっきりと分かる。快晴で太陽の光をいっぱいに浴びた雪をいただいたまぶしいほどの山々を見ながらの素晴らしいフライト。今日は札幌大谷大学の卒業式。
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